聖母大聖堂はアントワープにある、ローマ・カトリック教会です。
町の守護聖人である聖母マリアに捧げられたもので、ベルギー最大のゴシック様式の聖堂となっています。
1352年の着工から1521年に完成された建築物です。
塔の高さはなんと123mと非常に存在感のある外観で、47個の鐘で構成されるカリヨンをそなえており、1999年に「ベルギーとフランスの鐘楼群」として世界遺産登録されています。
聖母大聖堂の見どころは、なんと言ってもルーベンスの傑作『キリストの昇架』『キリストの降架』『聖母被昇天』『キリストの復活』を見ることができます。
また、壮大な礼拝堂やマリア像、ステンドグラスやオブジェがあり、どれも感動的で圧巻することでしょう。
この記事では、聖母大聖堂の基本情報をはじめ、ルーベンスの作品についてまとめていますので訪れる際の参考にしてみてください。
聖母大聖堂の基本情報
開館時間 | 平日(月〜金):10時〜17時 土曜日:10時〜15時 日・祝:13時〜17時 |
入場料 | €8 *20人以上のグループ、60歳以上、学生は€6 *アントワープ州の住民は無料 |
HP | 聖母大聖堂 |
所在地 | Groenplaats 21, 2000 Antwerpen,Belgium |
電話番号 | +3232139951 |
開業 | 1521年 |
建築家 | ペーター・アッペルマン |
アクセス方法
アントワープ中央駅からは3番か5番のメトロで3駅ほど行ったGroenplaats駅の近くにあります。
聖母大聖堂周辺はアントワープの中心街エリアにあります。
車で行く場合は、エスコー川添いの広場が無料パーキングエリアなので便利です。
パーキングエリア周辺に観覧車があるので目印にするとすぐに分かります。
だいたい徒歩10分程度です。
館内フロアマップ
番号のところに作品があります。
教会内はとても広く、開放感に満ち溢れています。
聖母大聖堂にある主な美術品
聖母大聖堂ではルーベンスの4大傑作をみることができます。
- 『キリストの昇架』1610-11年
- 『キリストの降架』1611-14年
- 『聖母被昇天』1624-26年
- 『キリストの復活』1612年
美術家ヤン・ファーブルによる彫刻作品『十字架をもつ男』なども置かれています。
ルーベンスの作品については後ほど解説します!
ピーテル・パウル・ルーベンスとは?
1577年6月28日-1640年5月30日(62歳)
生誕:ヴェストファーレン、ジーゲン(現在のドイツ)
死没:スペイン領ネーデルラント、アントウェルペン(現在のベルギー)
ルーベンスはバロック美術を代表する画家で、アントワープで大規模な工房を経営し、生み出された作品はヨーロッパ中の貴族階級や収集家たちの間で高く評価されました。
キリスト教祭壇画や風景画、歴史画など、さまざまなジャンルにおいて傑作を残しました。
美術史上最も成功した画家と言われ、「王の画家にして画家の王」という異名がありました。
非常に博識で教養があり、古典的知識を持つ人文主義学者、美術品収集家でもありました。
また、オランダ語、イタリア語、フランス語、ラテン語など7ヶ国語を話し、ヨーロッパを飛び回る外交官として活躍していました。
外交官として外国を訪問しながらも王族や貴族からの肖像画の依頼を請け負っていました。
日本人に馴染みのある「フランダースの犬」の最終回でネロが天に召される前に観た、アントワープ祭壇画『キリスト昇架』『キリスト降架』を描いたのがルーベンスです。
ネロはルーベンスにずっと憧れていました。
ルーベンスの4大傑作について
聖母大聖堂にあるルーベンスの4大傑作について、それぞれ解説していきます。
『キリストの昇架』
英語:The Elevation of the Cross
3面鏡のように中央と左右の3つの部分から構成されています。
ルーベンスは、1600〜1608年までの間に中断を入れながらイタリアに滞在しており、その後、故郷のアントワープに帰って最初に製作された作品となっています。
中央…イエス・キリストはイバラの冠を頭にかぶせられ、手や足を釘で十字架に打ちつけられています。
9人の死刑執行人たちが、その十字架を立ち上げようとしている場面が描かれています。
左側…手前には、多くの女性や子どもたちが悲嘆に暮れている様子が描かれています。
手前に描かれた女性は、大きく身体をのけ反らせており、幼い子どもがしがみついています。
老婆は目を見開きながらキリストを見つめており、後方には、聖母マリアと洗礼者ヨハネの2人が事の成り行きを見守る姿が描かれています。
右側…手前では、白い馬に乗ったローマ軍の司令官が、キリストを磔刑(たっけい)に処するように指示を出している姿が描かれています。
後方には、キリストとともに磔刑を受けることになっている2人の泥棒の姿が描かれています。
泥棒のうち、1人はすでに兵士によって十字架にかけられようとされており、もう1人は着ている服を脱がされている姿が描かれています。
『キリストの降架』
英語:The Descent from the Cross
ルーベンスは『キリストの昇架』を1611年に完成させてから、すぐに『キリスト降架』の製作に取りかかっています。
中央…キリストの十字架降架です。
磔刑(たっけい)によって命を落としたイエス・キリストの遺骸が8人の男女によって十字架から降ろされている場面が描かれています。
キリストの手足や腹部からは血が滴り落ちています。
キリストの斜め左下にいる青いドレスを着た聖母マリアは悲痛な表情でキリストに手を伸ばしています。
キリストの下にいる赤い衣服を着ている男性は弟子のヨハネです。
左側…聖母マリアのエリザベト訪問です。
キリストを身ごもっている聖母マリアが、親類で洗礼者ヨハネを身ごもっているエリザベトを訪問している場面が描かれています。
右側…神殿への奉献です。
赤い服の男性、抱神者シメオンがまだ幼いキリストを聖母マリアから受け取って抱いている場面が描かれています。
抱神者とは、正教会で用いられる聖人としての称号です。
シメオンが神であり人であるイエス・キリストを抱いたことにより、この称号がついたようです。
『聖母被昇天』
聖母マリアが天国へと昇っていく様子が描かれています。
画面上の中央に描かれたマリアは、白色のサテンと金の錦のドレスを身につけています。マリアのサテンの上着の裏地には、パステルピンクの色が使われています。
マリアの周りには、翼を生やしたプット(幼児)がたくさん描かれています。
左上には、大きい天使が2人飛んでおり、バラの花でできた輪状の冠をマリアに被せようとしている姿が描かれています。
下方には、12人の使徒が描かれている他、マリアが亡くなったときに現れたとされる3人の女性が描かれています。
使徒の中には、空っぽになった墓を覗き込んでいる者がいる一方で、マリアの姿を目で追う者もいます。
赤色の服を身にまとい、石の墓を指さしている女性のモデルは、ルーベンスの妻であるイザベラ・ブラントであるとされています。
手前には、パステルピンクの服をまとい、ひざまずいている女性が描かれています。
左下には、イエス・キリストの弟子である使徒ヨハネが、マリアの方へ腕を伸ばしている様子が描かれています。
「フランダースの犬」でネロは毎日のようにこの絵を見ていました。
実物を観ると、全体的に柔らかいタッチと色合いで、神々しさを感じる作品でした。
個人的には1番好きな作品です。
キリストの復活
中央…十字架に磔られた3日後に、イエスが復活したところが描かれています。
墓から、筋骨隆々のイエスが力強く立ち上がり、その光輝く姿に見張りの兵士たちが驚いている様子が描かれています。
イエスは、自分を包んでいた亜麻布を肩からかけただけの姿で、勝利の赤い旗を左手に、右手には天国に生えていたヤシの葉を持っています。
左側…ヨルダン川のほとりに立っている洗礼者ヨハネです。
足元の剣は聖ヨハネの斬首を表しているそうです。
右側…依頼主マルティナ・プランタンの守護聖人です。
勝利のシンボルであるヤシの葉を持っています。
聖母マリア像
入り口を入ってから左側に聖母礼拝堂があります。
そこではアントワープ聖母の慈悲を観ることができ、多くの人々がろうそくに火を点しにやってきます。
ろうそくは€1のコインが必要です。
礼拝
信仰する者のために、祭壇は建物の中心に位置しています。
祭壇に向かって信仰者はイエスの神へと祈りを捧げ、神からの祝福を受けます。
写真の芸術作品は説教壇です。
もともと南アントワープのセントバーナード修道院にあったもので、鳥や植物の絵は想像の多様性を表現しています。
彫像は、悔い改めと許しを象徴しています。
教会内の様子
天井がとても高く、左右の窓にはたくさんのきれいなステンドグラスがあります。
DE PLEKで聖母大聖堂オリジナルのベルギービールを飲もう!
教会の一角にカフェスペースがあります。
ちょっとした休憩でき、ここでトイレも利用できます。
<営業時間>
月曜日〜金曜日:10時〜17時
土曜日:10時〜15時
日曜日:13時〜17時
火曜日:休み
DE PLEKのメニュー
ベルギーといえばビール!
大聖堂オリジナルのビールがあるので飲んでみました。
私が注文したのは、Kathedraal blonde `AUROMA’ €3.9 です。
コクがしっかりあるけどあまりクセがなくて、あっさり飲みやすく美味しかったです。
ここでしか飲めないのでぜひ注文してみてください。
好き度:★★★★☆
ちなみにギフトショップで販売されていたのでそこでお土産としても購入できます。
「フランダースの犬」ネロとパトラッシュのオブジェ
聖母大聖堂の前には「フランダースの犬」でおなじみのネロとパトラッシュの可愛らしいオブジェがあります。
写真スポットになっています。
まとめ
そのほかのアントワープの観光スポットはこちらの記事で紹介しています。
ベルギー第2の都市アントワープに行ってきました。 有名画家ルーベンスの故郷であり、「フランダースの犬」の舞台として有名な…
聖母大聖堂はベルギーの絶対訪れるべき観光スポットです!
ただ訪れるよりも、事前に少し知識を入れて行くと楽しさが倍増するのでおすすめです。
Have a good trip!